第13回で、各自が自分の財務データをOntologyの finance/ に集めました。この日はその続きです。集めたデータを実際にAIへ読ませ、客観的なリスク評価にまで進めるのがねらいでした。


データは軽くして、計算は軽いモデルに任せる

最初に共有したのは、AIのコストの話です。財務データを毎回まるごと読ませると、トークンを大量に消費します。そこで運用を3つに絞りました。

  • CSVはそのまま読ませず、JSONなどの構造化データで保存する。読み込む頻度も、週1回程度に抑える
  • 数値計算は、必ず新しいスレッドで始める。既存スレッドを続けると、過去のやり取りがキャッシュとして積み上がり、計算コストが膨らむ
  • 計算に使うのは軽量モデルで、推論レベルは低くする。アイデア出しや企画の検討は上位モデル、純粋な数値の整理は軽量モデル、と使い分ける

賢いモデルほど良い、とは限りません。足し算と引き算に、いちばん高いモデルを使う必要はありません。

分析期間は3年にそろえる

事業の持続可能性を見る期間も決めました。中期経営計画に合わせて、原則3年間です。期間がバラバラだと、事業ごとの数字を並べても比べられません。


読ませたら、弱点が数字で出てきた

それぞれの財務データを分析させた結果を、匿名で紹介します。

  • ある事業では、売上が2か月落ちると資金繰りが苦しくなることがわかった。固定費を含め、最低限の手元資金として確保すべき額も具体的な数字で出てきた
  • ある事業では、固定費削減の目標が「防衛ライン」と「自走ライン」の2本に言語化された。ここまで削れば守れる線と、ここまで行けば自走できる線です
  • 個人の支出にも見直せる項目があることを確認した。個人の家計を見終えたので、次は事業の資金の分析へ進む

もうひとつ、失敗も出ました。給与明細のように詳細が足りないデータでは、分析が浅くなります。そのときは、足りない情報を補って、もう一度考えさせる。最初の答えを完成品と思わず、不足を足して回し直すのが、この段階のやり方です。


賭けるのは、総資産の1/10まで

分析のあとは、これから何に賭けるかの話になりました。全員で採用した方針は次のとおりです。

総資産の1/10程度を目安に、失っても致命的にならない金額で、小さく賭け続ける

大きく一度に賭けると、外れたときに次がありません。小さく何度も賭ければ、外れても続けられます。続けられる人は、そのうち当たります。

もうひとつ、私が強調したのは報酬の考え方です。事業の初期は、自分への報酬を抑えて内部留保を増やす。それを将来の借入や次の事業への投資に回す。10年後の収入を最大にするのは、今の報酬を最大にすることではありません。

大型の商品は、売る物ではなく見せる物にする

事業の方針が変わった例もあります。食品事業で、製造ロスを数字で見たところ、大型サイズは割に合わないことがわかりました。そこで、通常サイズの販売を土台にして、大型は予約制の発信コンテンツに回すことにしました。売る物から、見せる物へ。数字が方針を動かした一例です。


宿題

次回までの宿題は、どれも同じ方向を向いています。

  • 自分の報酬が発生するために、月に何件の契約が要るかを算出する
  • 事業の収益と支出をAIに再分析させ、続けられるかどうかを検証する。1年分の財務計画を事業計画に加える
  • 作った財務計画に対して、客観的なリスク評価を実施する
  • 総資産の1/10の予算の範囲で、新しいビジネス案をもう一度考える

この日の到達点

倒産を避けるために、いちばん大事なのは継続的な資金管理の体制です。数字を人力で追い続けるのではなく、構造化したデータをAIに読ませ続ける。そうすれば、固定費や資金繰りの弱点は「なんとなく不安」ではなく、数字として目に入ります。

次回(9月14日)は、S5の3回目です。

この勉強会について

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